あざといきみの誘惑は
「……へ?」
ぱちぱち。瞬きを繰り返す。
に、二重スパイ?
それってもしや、ルクソンのスパイをしながら、タキオンのスパイもしろってこと??
「……ナニ。もしかして、嫌なの?」
「い、や。そうでは、なくて。あの、要するに、タキオンの情報を流しながら、ルクソンの情報もこっちに流せってこと、ですか?」
「そーゆーこと」
頬杖を突きながら、私の言葉を、承諾の言葉を待つ青羽。
なんで、私をここで排除しないの?
ルクソンに自分たちの情報が流れてもいいってこと?
ルクソンなんて敵にも値しないから、心配いらない?
────それほど、この4人だけの族は、つよいの?
……わたしも、覚悟を決めなければ。
利用される、覚悟を。
利用されるなんてほんとならごめんだけど、仕方ない。
私の詰めの甘さが招いた結果。
何もかも見え透いたような瞳を見返して、強く宣言する。
「……わかりました。そのお話、引き受けます」