あざといきみの誘惑は
手当をする手つきは優しくとも、綺麗なピンク色をした唇から放たれる言葉は全然優しくない。
「俺らぜーいんそうだよ。青羽も、明間も、サクヤも。信用はしていれど、信頼は絶対しない。それが、ここで生き残っていくうえで必要なことだってわかってるし」
ぺとり、冷たい湿布がいきなり貼られて、背筋が震える。
……うん。ふるえたのは、そのせいだ。きっと。
「じゃ、じゃあ、私のこと、」
「最初っから信用してなかった。大体、あんな辺鄙な場所に蹲ってる奴なんてたかが知れてるだろ」
ぱたり、と救急箱の蓋が閉められる音が、やけに耳についた。
「明間は尾行下手だから、サクヤに尾行してもらって驚いた。まさかスパイとか。それも現役姫。笑いそうになった」
「いや笑わないで?!」
叫び返した瞬間、あ、と瞬時に青ざめたけれど、そんな私を見て、友利はぽんぽんと頭を撫でてきた。