あざといきみの誘惑は





「サクヤー、また明日な〜!!」

「ちゃんと朝メシ食べろよ。あと、めんどくさいからってずっと寝るな」

「じゃあ、同じ時間に来るから、ちゃんと鍵開けといてね」

「………、」




三者三様の言葉に、サクヤは無言で頷いてぱたりと扉を閉めた。


……なかなかにシュールな光景を見せられたこっちの身にもなってほしい。

それに、この光景に慣れそうにないのが最近の悩みだったりする。




「ねえ、なんで俺にだけサクヤ無反応なの?!」

「明間がうるさいからじゃね?」

「……鬱陶しいから?」

「いい加減俺に優しさ頂戴!?」




ひとりここに裏切り者がいるってわかってても、普通でいられる豪胆さたるや。


……や、豪胆というより、もはやある意味鈍感の域に達してない??


……まあ、それはそれとして。




「あの、なんで私送られてるんですか?」



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