長い梅雨が明けた日
程なくして河野と目が合う。
けれど、即座に視線を逸らして優弥を見る。
「病み上がりのくせに何で教室にいないんだよ」
呆れ顔の優弥が当然のように私の横に来て額に手を当てる。
「琴美と、誰にも聞かれたくない話をしたかったから」
「…へぇ」
『誰にも聞かれたくない話』をどう思ったのか、優弥が微妙な声を洩らした。
「優弥」
「ん?」
「あのさ、琴美と中学の時の話してたんだけどさ、私って中2の時に何してたっけ?」
「中2の時?それなら俺より健二に聞いたほうが早くね?」