長い梅雨が明けた日

「あ。理乃ちゃんここで食べてたの?」


また誰かが私を呼んだ。

ドアを見れば豊永の笑顔が見えた。

「理乃ちゃん、まだ進路希望書いてなかったの?」

豊永に突然問われたせいで思考が切り替わる。

「え?進路?書いたけど…」

この前、家で進路希望を適当に書いたのを思い出した。

「あれ?ホント?
さっき職室行ったらみっちゃんに言われたんだけど?」

豊永とのやりとりに琴美が口を挟んだ。

「理乃ちゃん、書いたけど持って来るの忘れたって何度も言ってたじゃん」

「あ。そうだった…」

既にもう1ヶ月以上前の事だ。
そんなのどうせまた学年末に書かされるんだろうと気にも止めて無かった。
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