長い梅雨が明けた日

「あ。後で左腕も手当てしますね」

目敏く私の左腕の擦り傷を見つけた彼女は言葉を足した。

そして手馴れた様子で足の処置を続ける。


そんな彼女を無言で隠し見る私の心は次第に冷えていった。


男子部の女子マネージャーの彼女。
1年生でストレートの黒く長い髪が似合う女の子。

可愛いらしい見た目のせいで女子部からは『男目当てで入部した』と揶揄されているが、彼女自身からは女子部を煙たがる態度を見た事が無い。

< 132 / 346 >

この作品をシェア

pagetop