長い梅雨が明けた日

その姿がとても可愛く見えた。


だから。


突然頭に浮かんだ絵が私を納得させた。




「あの、私は先輩を」

戸惑いながらも何か言おうとした宮下さん。

でもその言葉をかき消すかのように彼女の背後から声が聞こえた。


「理乃平気?手当て終わった?」

聞こえた声が3年の部長のものと気付いて慌てて立ち上がろうとするが、部長と一緒に近寄った香菜が座っててと促した。

「あ、あの、それじゃ私は失礼しますっ」

長谷川部長の声を聞いた宮下さんは慌てて立ち上がり、私と部長にペコペコとお辞儀すると男子部の方へ戻って行った。


宮下さんの言いかけた言葉が気になったけど聞かなくて正解だったかもしれない。

チラリと彼女の後ろ姿を見れば一目瞭然だった。
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