長い梅雨が明けた日

「理乃。昨日熱が出たんだって?だから練習に集中出来なかったんだね」

長谷川部長がしゃがみ込んで私の額に手を当てる。

「…熱はもう下がりました。すみません」

「そう?
なんか大人しい理乃って珍しいから見てるこっちが不安になるわ」

軽く笑う先輩の横にいる香菜も心配そうに私を見る。

「監督も今日はもう帰っていいってさ。
捻挫してるから明日も部活休んでいいからね」

「それか河野と一緒」
「ありがとうございます。残っていても邪魔になるので先に帰ります」

香菜が付け加えるように河野の名前を出すので慌てて言葉を遮った。

私を心配してくれる香菜なりの配慮だろうと気付いてはいたが、今の私にはその配慮が重荷だった。

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