長い梅雨が明けた日
「ごめん優弥。今は誰とも話したくない」
静かな口調で優弥を拒否る。
わかってる
優弥が私を心配してくれてる事くらい
私が怪我したから一緒に帰ってくれた
早く帰ろうとして普段より必死に自転車を漕いでくれた事にも気付いてた
それでも今の私は優弥の話を聞く余裕が無い
そんな我儘な私に何を思ったのか、優弥は話しかけることなく私の首筋に手を当てる。
多分、熱がまた出たのかと確認してるんだと思う。
顔にタオルを乗せたままだから額でなく首筋で体温を計る。
「わかった。でも、また熱が出るかもしれないからちゃんとベッドで横になれよ」
優弥の立ち上がる気配を感じると張り詰めた緊張の糸が緩んだのか重い瞼が暗闇を濃くした。