長い梅雨が明けた日
そう言って視線を再び窓に戻した。
さほど強くない雨だが、時折風が強くなった時に雨がバチバチと音を鳴らして窓に当たる。
それが何故か気になって窓を見つめ続けてた。
「白井」
再び河野の声が聞こえて振り向くと前方のドアに手を掛けたままの河野と視線が合った。
「何?」
「あのさ…俺も優弥みたいに" 理乃 "って呼んでもいいか?」
視線を逸らすことなく告げられた言葉。
「…いいよ。その代わり私も" 健二 "って呼ぶけどいい?」
私も視線を逸らすことなくそう言い返すと河野の目が笑った。
「OK。それじゃそういう事で。じゃあまた明日な、理乃」
嬉しそうに笑った顔の河野がそう言って私に背を向けてドアを開けて出て行った。