長い梅雨が明けた日

それからは「健二」と呼ばないように、部活の話をやめて別の話題に切り替えた。

勉強を終えて自分の部屋に戻っても、何故か「健二」と呼んだ事を指摘した時の優弥の顔が気になった。


まるで私の心配をしているような優弥の顔。

私が熱を出すとよくそんな表情をしていたから。


私が「健二」と呼ぶのが駄目だったのかな?

優弥と私以外で「健二」と呼ぶ人って…。

私の知る限りではいなかったと思った。


あ。違った。

他にもいた。

健二の元カノがそう呼んでいた。

別れた後も健二の側に来て馴れ馴れしく健二に声をかけていた元カノ。

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