長い梅雨が明けた日
「そうだ!優弥、昼休みにチラッと見たよね?」
突然声を張った私に驚いた優弥が目を丸くした。
「は?何を?」
「この跡だよ!
あの時もしかして見えてたの?」
首元を指差しながら問い詰める。
あの時、立っていた優弥から見えたなら河野にも見られたかもしれない。
それが気になって問い詰めた。
「あーあん時か。いや、見えてなかったよ。見えるかなーと思ってチラ見しただけ」
笑いながら答える優弥は、首元の跡を確認するかのように指を動かした。
キスマークをつけられた時と同じパジャマだから優弥に見えているのはわかる。
でも、跡をなぞる指先がくすぐったくて優弥の手を払い退けた。