長い梅雨が明けた日
いち早く着替えを済ませた仲間の一人が外の空気を求めて部室を出ると、すぐにまたドアを開けて室内に顔を出した。
「理乃、ダンナがお待ちかねだよー」
声をかけるとすぐに帰ってしまった仲間をよそに、室内に残る面々が一斉に騒ぎだした。
「いいなー。私も彼氏欲しい…」
「私も男と一緒に帰りたいー」
「これ以上、室内温度上げないでよ」
「河野レベルでなくてもいいから誰か私と付き合ってくんないかなー」
「理乃、早く行きなよっ!待たせると女子マネに河野を取られるよ!」
……うるさい。
ってか、なんで『ダンナ=河野』なの…。
女子マネに取られても全く問題無いんだけど?
皆んな毎回同じ事を何度言えば気が済むんだろ?
そして私も毎回同じ事を言う羽目になる。
「部長に呼ばれてるだけでしょっ!」
いちいち面倒臭い女子軍団の会話に大きなため息をつく。
ちょうどバッグに脱いだ服を詰め込んでいた私はまた何か言われる前にそそくさと部室を出る事にした。