長い梅雨が明けた日

「…」

「だから付き合ってないから安心してって言ったよ。
…自覚してから初めてそう聞かれて…
改めて河野がモテるんだって思ったよ」

苦笑いでこの話を誤魔化そうとした。

これは単純な嫉妬。

話しておきながら、失恋してるくせに嫉妬してるなんて思われたくなかった。


「…そうだね。河野くん格好いいもんね」

そう呟いた琴美はあまりそう思ってるようには見えなかった。


「理乃ちゃん、話しはそれで終わり?
本当はもっと話したいくらいだけど手短にって言われたし、理乃ちゃんにゆっくり休んでほしいから」

「うん。琴美に全部言えて少しすっきりしたよ。聞いてくれてありがとう」

私の手から空になったプリンの容器を取り上げた琴美はゴミをまとめてからスマホを取り出していじった。

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