長い梅雨が明けた日

「…神田、それって誰に聞いたんだ?」

「理乃ちゃんだよ」

「……」


神田の即答に声を失った。


理乃が?
誤解してる?
宮下のことを?


そう思った時には宣言していた。


「俺が好きなのは理乃だよ」



いつの間にか少し前にいた神田が振り向いていて俺を見ていた。

宣言した時に神田と目が合ってそのことに気付いた。
俺の本心を探るような神田の視線。


「やっぱり…。中学からずっと理乃ちゃんと河野くんの噂が絶えないのって…」

「俺がわざとそうしてんだよ」

やっぱり神田は俺の本心を探ってたのか。
だから挑発するような聞き方だったんだな。

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