長い梅雨が明けた日
必死に理性を起こして理乃から視線を逸らす。
そしてバッグから教材を取り出して小さな折りたたみテーブルで勉強を始めた。
気持ちを切り替えて一時間も経たない時に理乃の声が聞こえた。
「ゆ、ゃ…」
名前を呼ばれた気がして振り向くと、薄っすらと目を覚ました理乃が俺を見ていた。
「理乃?」
すぐさま理乃の側に行き頬に触れる。
「どうした?」
「のど…渇いた…」
理乃が飲みやすいようにコップにポカリを注いで、肩に腕をまわして上体を起こした。
力無く俺の胸にもたれかかった理乃にコップを渡すと大人しく口にする理乃。
単に、たまに熱が出た時よりも辛いからそうなってるだけなのに、
普段より俺に甘えてくれてるような錯覚に陥る。