長い梅雨が明けた日
頭から布団をすっぽり被って壁際で泣く。
幼いうちは布団に隠れていても泣き声がしたから気付いたが、成長するにつれて声を押し殺すクセがついた。
そんな過程を見てた俺だからすぐ分かった。
昨日、ベッドから俺を突き飛ばした理乃がスマホを見たあと、布団をすっぽり被って声を押し殺して泣いていた。
俺が部屋にいるのに。
バレてないと思ったのかもな。
何がそんなに悲しいのか。
俺には話せないことなのか。
夏物の薄い掛け布団は中に潜り込んだ理乃の姿を隠しきれていない。
腹の中の赤子のように身体を丸めて小さくなっているシルエット。
声を押し殺しているからか時折震える身体と微かに漏れる耐える声。