長い梅雨が明けた日


!!


我に返って慌てて理乃から離れる。
理乃が微かに動いたから。


バレたっ!?!?!?


バクバクと自分の心臓がうるさい。
けれど少し頭を動かした理乃は寝てるままで呟いた。


「…んじ…」


聞こえた寝言が俺の心臓の音をかき消した。


……健二?

そう言った?

聞き間違い?

俺がキスしたタイミングで?


じっと見つめる先の理乃はそのまま寝息をたてていた。


もしかしたら理乃は夢を見ていたのかもしれない。
偶然俺がキスしたタイミングで健二が夢に出たのかもしれない。

必死にそう思い込もうとしたけど。


まさか…

健二は理乃にキスをしたのか?



そんな疑念が頭から消えなかった。

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