長い梅雨が明けた日
「白井、男子の分も頼むな」
…多分そう言われると思った。
男子の分を河野に渡してくれという事なんだろうけど…。
気乗りしないが仕方ない。
「田沢先輩」
私が男子の分も受け取ろうとした時に先輩を呼ぶ声が聞こえた。
「あれ?なんでお前がいるの?足平気なのか?」
振り返った私を見た河野が話かけてきた。
でもすぐに私は田沢先輩に向き直る。
「ちょうど良かったですね。男子の分は河野にお願いします。長谷川先輩、それじゃ失礼します」
河野が来ると入れ違いで私は琴美と教室に向かった。
階段を降りて廊下の先輩達が見えなくなると琴美がぽつりと呟いた。
「あの子が手当てしてくれたんだね」
「あ、うん。そうだよ」