長い梅雨が明けた日
「また来たくなったらいつでも俺に声かけてよ」
豊永が調子よく言う。
「うん。その時は優弥と来るよ」
「えー?俺がここに連れて来たのにー?」
「そういえば、豊永はここに彼女連れて来たことないの?」
「ないね。彼女となら二人きりになれる方がよくない?」
「んーそうなの?私に同意求められてもわからないってば」
「あー。理乃ちゃんは優弥がいるからなぁ。モテるくせに彼氏作れないもんなー」
「別に作りたいとか思ってないし」
「えー?勿体な」
「トヨ、いい加減にしろよ。理乃が赤点取ったらお前のせいになるぞ」
「じゃあその時は俺が責任取って勉強教えてあげるよ」
にこりと微笑む豊永には悪いけど、そうなりたくないから大人しく視線を問題文に戻した。