長い梅雨が明けた日

「行こう、理乃ちゃん」

琴美が突然私の手を掴んで引っ張って歩き出した。
隣にいた優弥も河野を気にすることなく歩き出していた。

「邪魔しちゃ悪いか」と呟いた豊永も手を振るのをやめて歩き出した。

まるで何もなかったように
誰も河野を気にすることなく再びお好み焼きの話に花が咲いた。


交差点にさしかかると駅方向に帰る琴美と豊永が足を止めた。

「理乃ちゃん何かあったら電話してね」

私の手を握りながら琴美が言った。

明日も学校で顔を合わせるのに。
きっと今の私を心配してくれている。
それが解ったから逆に落ち着いた。

「大丈夫。わからないところは優弥に聞くから」

琴美が言いたい事は分かっていた。
けど優弥と豊永がいるから誤魔化して返事した。


うん。大丈夫。

あの二人がお似合いなのはわかってたし、
私は河野の恋を応援してるから。

琴美に笑顔を向けて「またね」と声をかけ、優弥と一緒に自宅方向に向かって歩き出した。

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