長い梅雨が明けた日
優弥と話して思い出した幸ちゃん。
優弥の兄の幸弥は私の兄の蓮と同級生。
私からしたらもう一人のお兄ちゃんみたいな人だ。
だから私が高校受験をひかえた冬休みの間、毎日家庭教師をしてくれた頭脳明晰な幸ちゃん。
正確には、お母さんが幸ちゃんに家庭教師を頼んだからだけどね…。
私が幼い頃から兄や優弥と違って幸ちゃんだけはいつも私を女の子扱いしてくれた優しくて自慢の兄だった。
幸ちゃんは私の初恋だったな…。
……初恋?
あれ?
初恋!?
……違うな。
もっとこう…なんて言うか…
好きだけど、河野に対する好きとは違う。
でも優弥に対する好きとも違う。
「ねぇ。幸ちゃんって私にとってどんな存在?」
つい、気になって優弥に聞いてみた。