長い梅雨が明けた日
「……憧れたことなんかねぇよ」
急に吐き捨てるように言った優弥。
いきなり雰囲気が変わった気がして口を噤んだ。
憧れと恋は違う。
そう言ってるように感じたから。
はっきりと否定する態度の優弥。
だから突然気になった。
優弥が好きになった子のことを。
一度、優弥の好きな子は琴美かと思った。
けど琴美の話を聞いてから
私が熱を出したり色々あって自分のことで手一杯になって忘れていた。
優弥の好きな子って誰…?
「じゃあな」
「え?」
気付くと優弥の家の前にいた。
優弥はそのまま玄関ドアを開けて家に入って行った。
残された私も大人しく自分の家に帰った。