長い梅雨が明けた日

「な、何?」

「お前、一人で家にいるときそんな格好で彷徨くのかよっ」


そんな格好…。

言われて自分の格好を見下ろした。

あ。
バスタオル…。


「ちょ、これはリビングで物音がしたから確認に」
「だとしても!
家の鍵もかけてなくて風呂入るとか、
そんな格好で様子見に来るとかっ…
俺じゃなくて空巣強盗とかだったらどうすんだよっ!」

「空巣…?そんな大袈裟な」

大袈裟すぎる話につい笑ってしまった。


「お前、いい加減自分が女だって自覚しろよっ」

「そんなの言われなくてもしてるよっ」

優弥が苛つくような言い方をするから
私もちょっとムッとして言い返した。

その言い方が悪かったのか、優弥が近付いて強引に私の手首を掴んだ。

< 258 / 346 >

この作品をシェア

pagetop