長い梅雨が明けた日
軽くドアをノックする。
「優弥、着替えたから開けて」
声をかけると少し間を置いてからドアが開いた。
そこにはまだ渋い顔の優弥が立っていた。
「優弥、さっきの話な」
優弥の顔を見ながら声をかけたのに、
気付くと視界が回っていた。
「え?」
無言の優弥に背中を押され、また洗面台の前に立っていた。
「優弥?」
鏡に映る優弥に問いかけた。
でも優弥は私を見ずに洗面台横の収納棚をパタパタと開け閉めして何かを探す。
その様子が、さっきほどは怒ってないように見えて少しだけ胸を撫でおろした。