長い梅雨が明けた日

そのまま鏡の中で動いている優弥をじっと見つめる。

私の後ろに立つ優弥。
初めてかもしれない。
鏡の前に二人で立つのは。

鏡に映った私と優弥。
それは、第三者の目と同じようなもの。

私と優弥。
いつも他の人からこんな風に見えているの?

後ろに立つ優弥は、私の頭の上からでもかろうじて瞳が見えた。

こんなに身長差があったなんて気付かなかった…。


それに、鏡の中の優弥がいつもの優弥と違って見えた。

見慣れてるはずの優弥なのに、
何故かいつもと違う。


まるで知らない男の子みたいーー


そんな感覚で、じぃっと鏡の中の優弥を見ていた。


何かを引っ張った優弥が、やっと視線を鏡に向けた。

途端に目が合う。

それが恥ずかしくなって、瞬間的に俯いた。

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