長い梅雨が明けた日
「ほら終わったぞ」
「あ、ありがとう」
お客さん役の私は早々に突っ立ってることに飽きて、洗面台に手を掛けながら膝立ちの体制になっていた。
手の甲に顎を乗せ、目を閉じて優しく髪に触れる優弥の手の感触にすっかり心地良くなっていた。
…眠くなってきた。
よいしょと心の中で呟きながら立ち上がると自然とあくびが出る。
「行くぞ」
優弥に手を引かれながら、重くなりだした瞼を擦る。
リビングに戻ると優弥はテーブルの上を片付けだした。
私がお風呂に入っている間に勉強してたようだ。
「…勉強しないの?」
優弥をよそに、キッチンの冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出す。
「お前がやる気無さそうだから」
教材をバッグに詰める優弥を見て
なんだかいたたまれなくなった。