長い梅雨が明けた日

勉強道具をバッグに詰め終えた優弥は手持ち無沙汰になったらしく、ソファに腰を下ろした。

多分、新聞を読んでる。

うちに来た優弥の定位置。

キッチンからは優弥の後頭部しか見えない。



「優弥、ごめんね。これからはちゃんとするから」

「…」

「これからは一人でちゃんと勉強するよ」

「…」

「もう二度と部屋に行きたいなんて言わないから」

「…おい」

「だから私の事は気にしないでいいよ」

「理乃…お前マジで馬鹿だな」


優弥の声がすぐ近くに聞こえたから顔を上げた。

ソファには優弥の姿が無かった。
きょろきょろとリビングを見渡すけどいない。

「馬鹿すぎ」

優弥の声が聞こえた瞬間、身体が後ろに引っ張られた。

そして後ろに回り込んでいた優弥に抱きしめられた。

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