長い梅雨が明けた日
「なんで立ち止まってんだよ。ほら行くぞ」
そう言って空いてる手で私の背中を押す。
河野の手が私に触れたから分かった。
何が悪い事だったのかを。
「ごめんっ河野。私、知らなかったから。
…これ以上好きな子に誤解させたくないよね。だから私、先に帰るよ」
河野の好きな子が誤解しないように。
そう思ったから傘の下から走り出そうとしたけど、河野に腕を掴まれて動けなかった。
「そんなの今更だろ。ってか、逆にお前に気を使われたら周りにバレちまうだろがっ。お前は普通にしてりゃいいんだよ」
そう言ってくれた河野はいつもの雰囲気に戻っていた。