長い梅雨が明けた日
「理乃ちゃんおはよう」
トイレにでも行ってたのかな?
いつもなら自分の席に座って本を読んでいる琴美が、机に本を置きっぱなしにしていた。
教室に戻って来た琴美が声をかけてきたけど、私の顔を見て表情を曇らせた。
「理乃ちゃん、ちょっといい?」
促されるまま琴美の席に座らされて、
バッグからポーチを取り出した琴美がすぐに私の顔にメイクをし始めた。
「琴美っ?」
「時間ないから隈だけ隠すね」
そう言いながら慣れた手つきで素早くメイクをする。
確かに時間ないけど、どうせ今日はテストだし顔なんてどうでもいいのにな…
でも私を心配してメイクをしてくれる琴美に言えなくて大人しく座っていた。