長い梅雨が明けた日

「いらっしゃいませー」

の声と共に現れた店員が見知った顔だった。

「あれ?白井じゃん。神田さんとわざわざ来てくれたのか?」

「…え?小松?」

「あ。健二から聞いたのか?昨日、健二も来てくれたんだよ」

河野の名前が出ただけで顔が強張る。

「琴美、小松がバイトしてたの知ってたの?」

問いかけて琴美を見れば、びっくりした顔のまま首を横にフルフルと振った。

「なんだ、知らなかったのかよ。
まぁいいや。席は2階でいいか?」

小松に2階席を案内されてテーブル席に落ち着いた。

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