長い梅雨が明けた日

「場所決めてないの?だったらここで勉強したら?どうせ6時過ぎないと客増えないからさ」

「いいのっ!?」
「本当に?」

琴美も同じことを思っていたのか、小松の申し出に私と同時に確認した。

「全然大丈夫だって。その代わり神田さん、俺にも教えてよ。」

「…なんで琴美なの?」

「何言ってんだよ。お前も教わる立場のくせに。
昨日も健二が来て食後に数学教えてもらったんだよ」

「…お腹空いた!」

「は?
あ、メニュー決まった?」

また河野の名前が出るから無理やり話を切り捨てる。

今は河野の名前だけでも聞きたくない。

小松に悪気は無いんだけどね。


そういえば。

小松は多分、私と河野が付き合ってると思っている派だった…。
小松と河野が一緒にいる時、私が河野に声をかけると「邪魔する気ないし」といつの間にか消えてたな。


これからは気をつけよう。

でないと河野と二人きりにされる…。


というか、もう私が河野に話しかけなければ問題ないか。


気持ちを切り替えた私は小松に注文を頼むと、琴美に今日のテストの出来を聞かれて赤点の覚悟を決めた。

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