長い梅雨が明けた日

…もしかして、河野の好きな子って私の知り合い?

だから私が逆によそよそしくなったら変に誤解されるの?

…河野の好きな子の前でいつも私は何をしてたの?


突然の河野の言葉が、私の動きを完全に封じ込めた。


もしかして部員の誰か?
だとしたら、私が河野の恋を邪魔してる?


今更だとしても、そんな事言われたら今のこの状況…
相合い傘なんて出来るわけない…


じぃっと河野の表情を見つめるとすぐに視線が合う。



……あれ?


思わず首を少し傾けた。

また身長が伸びた?


見つめ合う河野の瞳が以前より位置が高く感じた。

その時、雨に濡れた前髪から一滴の水が頬に落ちた。


さっき傘から出た時に顔にも雨がかかっていた頬は既に濡れていて、前髪から零れた雨露も頬に落ちた時には頬全体へと滲んでいった。
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