長い梅雨が明けた日
「白井、ちょっといいか?」
部室のドアを開けるとすぐに待ち伏せてた河野健二に声をかけられた。
視線を合わせるとついムッとして眉間に皺が寄る。
「めっちゃ嫌そうな顔してんじゃねぇよ」
「嫌そうな、じゃなくて嫌なんだけど?」
はっきりと告げるが、すぐに後から部室を出て来た香菜に背中を軽く叩かれる。
「理乃じゃあね、バイバイ」
「香菜っ!」
私の呼び止める声をかき消すかのように、部室から次々と出てきた仲間が私に声を掛けて帰って行く。
「またね、理乃」
「理乃、イチャつくなら他でやって」
「河野くん送り狼にならないでね」
「アハハ。理乃が襲いそうじゃない?」
「無自覚で?あるかもね」
「河野、ちゃんと理乃を送ってやってね」
……ちぇっ
香菜め、また人に押しつけてっ。
言いたい放題言って女子部員軍団が当然のように私一人を置き去りにして帰って行った。