長い梅雨が明けた日

言ってから失言だと気付く。

仮にも協力してくれた二人を前にして…。


「…ごめん河野。
主に私が迷惑かけてるんだよね…」


突然理乃に謝られた。

びっくりして理乃を見るが謝っていても俺の方を見てはいない。

申し訳なさそうに下を向いたままだった。


「…別にり…白井のせいじゃないだろ」

理乃のせいなわけない。
俺がそう誤解されるようにしてるんだから…。

危うく"理乃"と呼びそうになった。
これ以上、理乃に嫌な思いをさせたくなかったから"白井"と呼び直した。


それなのに。


「そう言えば、最近河野くんは理乃ちゃんのこと"理乃"って呼んでたね」

「琴美っ!」

理乃が突然慌てだした。

< 307 / 346 >

この作品をシェア

pagetop