長い梅雨が明けた日

「なんだ。だったら"理乃"にするわ。俺のことも呼び捨てていいからな」

自覚してる。
今、俺は顔がかなり緩んでいることを。


「えっ!?そんなっ、急には呼べないし」

顔を真っ赤にした理乃が俺と視線を合わせてくれた。


「別に今とか言ってねぇよ」

ヤバい…
顔がニヤけるっ

まさかこんな事になるとは予想外過ぎる。



「待たせたな。これサービス。サラダなら女子でも食えるだろ?」

小松がタイミングよく現れて綺麗に盛り付けたサラダと取皿を置いた。


「美味そうだな。昨日はデザートをサービスしてくれたっけ?」

「わかってるって。女子3人にデザートを付けないわけないだろ」

「悪ぃな」

「その代わり店が暇になったら俺も混ざるから数学教えてくれ」

「真面目にやるならな」

いつもお似合いと言ってくれる宮下にはこれで恩が返せるかな。

早速、取皿にサラダを分けはじめた宮下は心なしか嬉しそうに見えた。

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