長い梅雨が明けた日



「…どうでもいいよ」


投げやりな河野の声が突然私の耳に入った。


私の隣りに座った河野。

宮下さんの話に驚いてて、河野が隣りに座ったことを忘れてた。

私が忘れてたくらい、隣りにいた河野は座ってから一言も声を発していなかったことに気付いた。


"噂なんてどうでもいい"


私にはそう聞こえた河野の声。
それは噂を全く気にしていない人の声ではない。

寧ろ真逆。

モテる河野は常に女子達の噂の種だ。

まさかそんな…と呆れかえる程のガセネタから、
何処の誰に告白されてた、とガチな話まで
色々噂にされる人。


だから河野が噂話を気にしないわけない。
コロコロと変わる自分の噂話。

『噂なんて俺のことをよく知らない奴が適当に話してるだけだろ』

中学の時にそんなことを言っていたのを思い出した。

『だよね。実際の河野は違うのにね』

当時の自分もそう言っていた。

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