長い梅雨が明けた日

だから、私と河野の噂話をいつも否定してた。

実際に付き合ってない。

噂なんてガセネタしかない。

そう信じていた自分。



だから河野の声が耳に残った。

投げやりな言い方がまるで
『誰も本当の自分を見てくれない』
と言ってるように聞こえた。


いつの間にか私も他の人達のように、
河野のことをちゃんと見ていなかった


そう気付いた時には口が動いていた。


「…ごめん河野。
主に私が迷惑かけてるんだよね…」

河野のことをちゃんと見ていないどころか、私のせいで在らぬ噂がずっと付き纏っていた。


改めて気付かされた自分の存在。

私との噂も河野にとっては"どうでもいい"ものでしかないこと。

河野のことを誰よりも知ってる気でいた自惚れた自分。


好きな人のことを信じられない自分。



つくづく自分で自分に嫌気がさした。

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