長い梅雨が明けた日

気持ちが沈んだその時に、琴美の声が聞こえた。

「そう言えば、最近河野くんは理乃ちゃんのこと"理乃"って呼んでたね」

「琴美っ!」

反射的に叫んだ。

琴美がその話を河野に言うとは思わなかったから。


突然の話題が、
河野に名前を呼ばれた時の高揚感を思い出させて顔が熱くさせる。


琴美に問われた河野があの時のことを思い出したのか、苦笑いで言った。

「"理乃"って呼んだんだけど嫌がられたんだよ」


河野にあの時の話をされたことと同時に名前を呼ばれた相乗効果で胸が苦しいくらいにドキドキと騒ぐ。


琴美のバカっ!!

何で今その話なの!?


『嫌じゃないんでしょ?』

分かってるくせにっ!!



「なんだ。だったら"理乃"にするわ」

河野のその一言が私の身体を熱くさせた。

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