長い梅雨が明けた日
その話題のあとは、
いつもと変わらない河野だった。
違ったのは呼び方だけ。
「理乃の分多くね?」
「神田さんは理乃を甘やかしすぎ」
私の気持ちなんてお構いなしに
会話中に何度も何度も河野が私の名前を呼ぶ。
優弥に呼ばれた時と全然違う。
同じ言葉なのに響き方がまるで違う。
「別にいいでしょ!」
名前を呼ばれた照れ隠しで可愛いくない態度になってしまうけど、
チラリと見た河野の表情が微笑んでいたから私も次第に落ち着いた。
やっぱり河野が好きーー
だから、河野に彼女が出来るまでは私だけでもちゃんと河野を見ていたい。
そう思った。