長い梅雨が明けた日

「じゃあ理乃ちゃん、またね」

「先輩っ、今日はありがとうございましたっ」


可愛い女の子二人を駅の改札越しに見送った。

「俺らも帰るか」

河野の声で来た道を戻り始めた。



最初は無意識に嫌悪していた宮下さん。


席の隣りに河野が座ったときに宮下さんに声をかけたら
『河野の先輩の横は白井先輩しかいませんから』
と言われて疑心暗鬼になった。


そのあと、私のファンだとも言った。

この時私には嫌味にしか聞こえなかった。

でも、彼女の告白を聞いて、
実際に小松が来た時に照れくさそうにする彼女を見てからは、
彼女の言葉が純粋に可愛いと思えた。

それからは宮下さんを見て、昨日の二人の姿を思い出しても胸が苦しくならなかった。


駅での別れ際。

「河野先輩、ちゃんと白井先輩を家まで送ってくださいね」

満面の笑みで言われて照れくさくなった。

< 325 / 346 >

この作品をシェア

pagetop