長い梅雨が明けた日
「じゃあ理乃ちゃん、またね」
「先輩っ、今日はありがとうございましたっ」
可愛い女の子二人を駅の改札越しに見送った。
「俺らも帰るか」
河野の声で来た道を戻り始めた。
最初は無意識に嫌悪していた宮下さん。
席の隣りに河野が座ったときに宮下さんに声をかけたら
『河野の先輩の横は白井先輩しかいませんから』
と言われて疑心暗鬼になった。
そのあと、私のファンだとも言った。
この時私には嫌味にしか聞こえなかった。
でも、彼女の告白を聞いて、
実際に小松が来た時に照れくさそうにする彼女を見てからは、
彼女の言葉が純粋に可愛いと思えた。
それからは宮下さんを見て、昨日の二人の姿を思い出しても胸が苦しくならなかった。
駅での別れ際。
「河野先輩、ちゃんと白井先輩を家まで送ってくださいね」
満面の笑みで言われて照れくさくなった。