長い梅雨が明けた日

俯いたまま、また考える。


どうしよう!手を離すべき?どうやって?
このまま気付かないフリしたほうがいい?

河野はなんで平気なの?私と手を繋いで歩いてるのを誰かに見られてもいいの?


軽く頭がパニックになったけど、もう一度チラリと繋がれた手を見た。


恥ずかしい…でも嬉しい。


私が考え事をしてるからか、河野は何も話さないでいた。

身に沁みてわかる。
優しい沈黙。


だから
数時間前の河野の言葉が気になった。


『中学の時から片思いしてる』


そう聞いたとき、同じ中学出身の子を思い出した。

『もしかして、香菜?』

咄嗟に思った微かな疑惑。

そう聞いた時に思いついた別の候補者。


もしかして、私?


< 327 / 346 >

この作品をシェア

pagetop