長い梅雨が明けた日
俯いたまま、手を繋いだままで声を絞り出す。
「…河野はなんで…香菜と、話さないの」
出した声が自分のものかと思う程に掠れて自身なさげな声だった。
「なんだよ急に」
「…ごめん」
河野が立ち止まって私に振り向いたのがわかったけど顔を見られなかった。
ずっと俯いたまま。
なんとなく河野の顔を見たくなかった。
俯く視界の隅に見える、繋いだ手だけが頼りだった。
そんな私の身勝手な質問にため息が一つ聞こえた。
「…中学の時」
河野の声が聞こえた。
「告られた」
ドキッと嫌な感情が騒ぎ出す。