長い梅雨が明けた日
「好きな子がいるって言って断った。それだけだよ。
でも、流石に部活でどう話していいのかわからなくて…理乃に頼ったんだ」
なんとなく、何かあるとは思ってた。
でも、まさか香菜が河野を好きだったなんて思いもしなかった。
「…ごめんな。
理乃が嫌なら、これからはちゃんと上田に連絡するよ」
「私こそごめん…。
言いたくないこと聞いちゃって」
河野も香菜も、お互い気まずいから私に話さなかっただけだろう。
「私、聞かなかったことにするから。
今まで通りで、何も知らないフリするから…」
だから香菜と話さないで。
河野を好きな香菜。
だから香菜に話しかけないで。
醜い私の嫉妬。
「わかった。じゃあ今まで通り、理乃に連絡するからな」
「うん」
俯いたまま頷いた。
その間、繋いだ手が離れなかった。