長い梅雨が明けた日

気をつけろ?
どういうこと?


訳がわからなくて話の流れを思い出す。


私が香菜の話題を出したあとに
河野が豊永の話を出してきた。


私が香菜を気にしたように
河野も豊永を気にしてる?


まさか…?


再び視線を手に戻す。

河野の手に包まれている私の右手。


今の私は自分に都合の良い解釈しか出来ないようだ。



河野の好きな人は私?



そう思った時に口が動いた。


「昨日、優弥に…」


そこまで言ってハッと声が出ていたことに気付いて口を閉じた。


私は何を言おうとしたの?


でも河野は聞き逃してくれなかった。

「…優弥に何?」

「…」

いつの間にか足を止めていた私。

そのせいで河野が振り向いたのがわかった。

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