長い梅雨が明けた日
「俺と優弥はずっと理乃を待ってたんだよ。理乃に彼氏として選ばれるのを。
なのに。
急に俺だけ無視するんじゃねぇよ。
選ばれるとか以前に、ガチでお前に嫌われたと思っちまっただろ」
「…ごめ…っ…く…」
抱き寄せている理乃の声が堪えきれずに洩れる。
それは幼馴染みの優弥が言ったように、声を出さずに堪えながら泣く姿。
こんなの見たら放っておけなくなるよな。
『理乃が泣いた』
それだけで滅多に電話しない優弥が俺に電話をかけてきた日を思い出す。
『いつも隠れて泣くんだよ』
絡めた手を解いて、両手で理乃を抱きしめた。
俺に隠れていいから
堪えなくていいから
自身の胸に押し当てた理乃の頭を撫でながら、俺の腕の中で静かに泣く理乃を甘やかす。
これからは俺の側にいて
「好きだ。俺と付き合って」