長い梅雨が明けた日

「…お前って意外に独占欲強いのな」

「今だけな。自分の彼女狙う野郎の前で何もしない奴のがどうかと思うけど?」

「…そうだな。はぁ…マジか…。
優弥道連れに走ってくるわ。じゃあな」


豊永の苛つくようなため息で奴の本気度が見て取れた。

豊永もかなりマジだったのか…。

正直、まともに戦ったらアイツに勝てる気がしない。

理乃が豊永を苦手だと言ってたから良かったけどな。


豊永がいなくなってもまだ大人しく腕の中にいる理乃に視線を落とした。

いつも髪を下ろしている理乃だけど、部活中は髪を一つに束ねる。

だから男の俺としてはこの状況でうなじに視線がいってもおかしくないわけで…。

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