長い梅雨が明けた日
右手で頬を押さえたまま優弥を見るとまた軽く笑われた。
そして頬を押える手の上に優弥の手が触れた。
「今頃?お前、鈍過ぎね?理乃、顔が赤くなってるぞ」
楽しそうに笑う優弥の顔が、
なんとなくいつもの優弥と違って見えた。
どちらかと言えば、
幼い頃に戻ったかのような優弥の態度。
そうだ。
幼い頃はよく優弥と手を繋いで一緒にどこへでも出掛けた記憶。
小学校に入学した時もずっと手を繋いでいた。
けど、クラスが違って手を離そうとしたら大泣きして困ったと何度も母さんに言われた事を思い出した。
けど、それは昔のこと。
何にせよ、急に優弥の態度が変わった気がして居心地が悪くなった。