長い梅雨が明けた日
そうなのだ。
隣のクラスの二人が、朝から私の席に居座って琴美と談笑していたのだ。
初めて見たその光景に思わず立ち止まってしまったのだが…。
「うちの親がこいつを心配してたからな。登校してきたか確認に来たんだよ」
「なんだ。俺に用があるのかと思ったわ。理乃ちゃんの生存確認かよ」
相変わらずだな、と笑う豊永が私を見つめて微笑んだ。
……。
一応微笑み返してみたが苦笑いになってるかも…。
優弥と親しいから私もそれなりに話すようになった豊永。
唯一私のことを"ちゃん付け"で呼ぶ男子だ。
豊永は見た目でも河野とは女子の人気を二分するイケメン男子。
親しくはなったけど、彼の持って生まれたモテオーラのせいで私には少し近寄り難い存在だ。
『理乃ちゃん』と呼ばれることにも慣れてなくて一度『ちゃん付けやめて』と言ったけど『理乃ちゃんの方がしっくりくるから』と聞き入れてくれなかった人。
正直苦手。