長い梅雨が明けた日
「ねぇ琴美。聞きたいことがあるんだけど…」
「なぁに?」
今朝の一件でどうしても気になった琴美の気持ち。
意を決して琴美に問う。
「琴美は…優弥と河野のどっちが好き?」
「……へ?」
いきなり脈絡の無い話題を振られた琴美は少し魔の抜けた表情で私を見つめた。
でも、私が真剣に琴美を見つめていたからすぐに表情を変えた。
「え…っと、二人とも優しいから好きだけどどっちかって…どうして?」
話しながらチラリと握力測定中の二人を見る琴美は不審げに私に問い返してきた。
なので。
「付き合うならど」
「ええっっっ!?!?」
付き合うならどっち?と聞きたかったのに琴美の声に遮られた。
それほど驚くような質問だろうか?
皆んなから離れて座っているのに琴美の驚いた声が体育館内に響き渡ったようで、館内のクラスメイトだけでなく他の学年の生徒の視線までもが琴美に集まった。